訪日客「寺に泊まろう」!?

寺に泊まり、座禅や写経などを体験する「寺泊」が外国人観光客らに好評だ。

 

全国の宿坊を検索できるウェブサイトも登場し、取り組む寺も増加している。背景には人口減少に伴い、檀家数が減り続ける中で、寺社を維持する方法を模索する受け入れ側の事情があるようだ。

 

「雨の音を感じながらの瞑想(めいそう)が心地よかった」。和歌山県の世界遺産‧高野山で寺泊したノルウェー在住のビラル‧シャーさん(31)は満足げに語った。

 

観光庁によると、高野山の宿坊に泊まった人の8割を欧米人が占める。だが宿泊施設として活用されている宿坊は全国で約300カ所にすぎない。日本文化を体験してもらおうと日本財団(東京)と京都の寺が外国人富裕層向けに始めたのが「いろはにほんプロジェクト」だ。

真如寺、海宝寺、永明院、大慈院、光雲寺が20169月から12日の寺泊を約15万円で提供し始めた。これまでに延べ148476人が参加。運営する京都文化協会は「座禅などについて住職に熱心に質問する人が多い」と語る。

 

さらに888年に宇多天皇が創建した世界遺産‧仁和寺が185月から松林庵を改修し、1100万円での受け入れを始めたところ、延べ948人が宿泊した。御所風の「御殿」を貸し切りで約3時間使えることが目玉。雅楽や声明などを楽しんだり、襖絵(ふすまえ)の解説を聞いたりもできる。「静寂を独り占めできてぜいたく」「千年の歴

史ある寺で過ごせて感慨深い」と好評という。

 

国宝など約3万点の文化財を所蔵する仁和寺は「維持管理に多額の費用が必要。寄付だけでは十分賄えず、財源を確保する狙いもある」とする。

 

5寺と仁和寺は、宿泊料の一部を被災文化財の修復に充てる予定だ。日本財団は「京都や奈良でモデルをつくり、全国100カ所に広げたい」としている。

 

全国約30の宿坊を検索できるサイト「テラハク」は昨夏にサービスを始めた。「年間約3千人が訪れ、うち韓国からの女性グループが半数を占める」という長崎県対馬市の対馬西山寺や、「檀家の漁師が取った大間マグロなど海の幸が食卓に並び、外国人観光客が月に2組ほど訪れる」という青森県大間町のおおま宿坊普賢院などを紹介している。

 

サイトを運営する「和空」(大阪)は「檀家が減る中で生き残るために寺泊を始めた寺もあるし、足を運んでもらうきっかけをつくりたい寺もある。今年中に100の宿坊を掲載したい」と意気込む。

 

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